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あらすじ:記念すべき1巻目は、パーンが冒険の旅に出るところから始まります。
幼馴染の聖職者エトと、村で相談役のようなことをしていた魔術師のスレイン、スレインのところにある理由から訪れていたドワーフのギム。
さらに、ハイエルフのディードリットと、盗賊のウッド・チャックを仲間に加えた一行は、フェリスの王ファーンから、行方不明の姫を探し出してほしいと頼まれるのですが……。
目次
意外と粗暴な言動もするパーン
筆者は、シリーズ全体としてはアニメ版、かつ小説でいう6・7巻時間軸印象が先にありまして。
それ自体は、また6巻・7巻あたりの話にもなるのでそちらを見ていただくとして。
その時点=ある程度年長者で温和なパーンのイメージが強かったんですね。
ゆえに、1巻時点の、若者若者しているパーンは逆に新鮮に感じまして。
この頃のパーンは、単に若いとか幼いってだけじゃなくて、お父さんのことが心に刺さってる時期でもあり。
簡単に言ってしまうと、不名誉な立場におかれながら亡くなったという経緯でして。
本作でその汚名は雪がれるんですが、言い換えれば、それまではパーンはずっとやきもきしたものを抱えていたわけで。
それが、粗暴さとして表れてもいるようです。
あ、後で知ったんですけど、原作のさらに原作、リプレイ版はもっとふざけたパーンがいたので笑っていました。
中の人がいるので当然といえばそうなんですけども。
(そもそもリプレイは、内容が同じでもあくまでTRPGなので。基本ふざけ倒す方が多くて気楽に楽しめる点もおすすめ)
エルフの耳は笹の葉っぱ
初読時は知らなかったんですが、ここでちょっと豆知識を。
ファンタジーにおけるエルフのモデルはディードリットなんですって。
(ディードは厳密にはハイエルフですが、本作では通常のエルフとハイエルフは耳の形に差異はないように見受けられます)
特に、細長い耳の形。
ただ先が尖ってるんじゃなくて、笹の葉のような細長さ。
エルフは作品によって耳長族ともいわれたりしますが、どう長い耳なのかは、本作が原点なんだそうです。
ちなみにハーフエルフの場合は、本作だと先述の先が尖ってるだけで、長さというかサイズは人間に近いです。丸耳じゃなくて、斜め上あたりが尖る。
お姫様を魔女から助ける定番ストーリー
偶然ではあるけど、本作の流れとしてはお姫様救出という、ゲーム的には王道RPG。
そこは、TRPGに端を発するロードスならではなのかもしれません。
人間にエルフにドワーフ、戦士に魔術師に聖職者に盗賊……色んな種族・兵種のメンバーが揃うのもあるあるですね。
……の割に、実はストーリーのメインはファーンとベルドの両雄対決というか。
パーンたちは、バックアップ任務に近いのが今振り返ってみると意外といえば意外です。
そういえば王様が勇者を送り出して終わりじゃなくて、自分も戦うのは斬新かも。
善でも悪でもない「灰色」の魔女
初読当時、ちゃんと理解できていたのか怪しいんですけど、見逃せない見どころですよね。
(実は小説の灰色の魔女とは同い年です。作品は0年目がないので私の方が1つ下になるのかな。アニメ当時もちびっこと言っていい年齢なので余計に)
本作を勧善懲悪と断言できないカーラの存在。
善悪というか、カーラは極端に突出するものを嫌う感じですね。
そもそも善悪の定義は人によって変わるので。
あ、だからこそ、善悪ではなく「白でも黒でもない灰色」なのかな。
白黒という突出を許さない、常に混じって灰色になっていればいい。
それは過去の、トラウマどころの話じゃないものによる、一種の使命感でもあり。
世界の均衡を保つという点では、勇者も真っ青の使命な感じがします。
ただ、本作での「レイリアの乗っ取り」をはじめ、カーラのやっていることを1つ1つ挙げていくと、そこは黒だったり白だったりするわけで。
結果として灰色という均衡を維持していても、細かい目で見ればそれは完全な灰色ではなく、白と黒が出たり入ったりでしかない。
すんごーい細かいドット絵で、白と黒を並べていったら、遠目には灰色に見えるような感じ。
その1つ1つに絡む人々の想いとかは、ないがしろにされている。
(例えばレイリアに関しては人さらい以上に、旅の仲間のギムに訪れた結末や、母親であるニースの悲しみを生んでるので黒)
最終的に平和なロードスが訪れても、細かい目でいたら誰かの犠牲がある。
そんな複雑さ。でも憎めない。彼女の悲しい過去ゆえに。
そもそも「真の平和など訪れないからこそ、天秤を白黒に傾かないよう揺らし続けている」と、カーラも自覚的ではあったように思います。
ウッドチャックの選択
魔女を倒して終わりとはならない点も、本シリーズが王道とされるゆえんだと思いまして。
「世間に一泡吹かせてやりたい、牢に繋がれて失った時間をもう1度、たとえ魔女に乗っ取られようとも」
っていうウッドの覚悟にはなんとなく共感してしまいます。
ウッドって、下手すると勇者一行どころかモブになりかねない立場で。
盗賊ってRPGなら単なる兵種でも、小説になったら悪党、しかもウッドは実際に過去に罪を犯していて。
ゆえに、周囲のウッドを見る目もよいものじゃない(本人曰く、あれぐらいのことで何十年もって言ってますがさて……)。
自業自得な部分こそあれど、ウッドにとっては世界そのものが敵といってもおかしくはないんですね。
そんな中で訪れた、千載一遇のチャンス。
しかも、ただ大金持ちになるとか、王様になるとかじゃない。
善も、悪すらも掌握する灰色の存在になれるって、それ以上の価値がある。
現状に不満がある、ちょっとブランクがあるって人とかは、共感があるんじゃないでしょうか。
「俺が世界を動かしてたんだ」だったかな。
ちょっと6巻・7巻に抵触しますが、カーラから解放されたウッドの言葉も身に沁みます。
そこに後悔はないんですよ。
ウッドはパーンたちに怒ったりはしませんでしたけど、解放されたのはちょっと残念だったぐらいの雰囲気さえ感じさせる。そこがまたいい。
1番のハッピーエンドはスレイン?
ずっと自分だけの星を探していた、スレイン・スターシーカー。
苗字に野望詰め込んでるのは、なんか格好いいというか、厨なナニカがくすぐられます。
ともあれ、本作のラストでレイリアという星を見つけたスレイン。
そこで本文は閉じるのですが、後にどこだったか、レイリアの母親のニースが「行方不明の娘が婿連れて帰ってきて驚いた」って言ってて。
つい笑ってしまった覚えがあります。昨今のラノベタイトルにできそうじゃないですか。
いったいスレインは、偉大なる六英雄のニースにどんな説明をしたのやら。
帰宅の時点で、レイリアがスレインを伴侶として受け入れてるのもすごいです。
ニースのところまで連れていく役目を託されたのはスレインとはいえ、レイリアが好意を抱くのは主人公のパーンじゃないんです。
仲の良かったギムに操を誓うとかでもないんです。
スレインなんです。
そういえば、本作のもう1人のヒロイン=ファリスのお姫様も、お相手はエトなんですよねえ。
パーンにはディードがいるといっても、お互いを意識するのは、2巻以降だと思っていたんですが、既に本作でも何かあったのかしら。
何度も言いますけど主人公はパーンですからね。
もしや、リプレイを忠実に再現した結果、もてない系主人公になった可能性……?(笑。まあお姫様と聖職者ですから、粗暴な勇者はごめんよって感じになったのかも)
伝説の六英雄の終焉
ベルドとファーンの没は、本作の大きなポイントで。
まだ存命の六英雄はいる……というかここでは2人しか亡くなってないんですけど、象徴としてはこの2人というのが、パーン達にとっても印象強い方々なんですね。
(ナシェル・フラウスについてもここで言ってしまいたい)
カシューやバグナードなど後の主要人物の登場・伏線
本作のメインはあくまでもベルドVSファーンで。
そこにパーン達の裏仕事(!)が加わるぐらいで。
そうなんです、あくまでもファーンの国とベルドの国の戦争(厳密にはマーモ島VSロードス本島ですが)が大きな問題なんです。
そこにカーラが割り込んで、どっちにも勝たせないために、ファーンの娘であるお姫様さらって調節して、んで、救出のためにパーンたちが任命されるという流れなんです。
下手をすると、パーンたちは巻き込まれ勢であり、カーラの件がなかったら、パーンは普通に従軍してた可能性が高いです。
ほかの面々は、そもそも戦争にすら関わってなかったかもしれません。
そんな彼らの「あがき」は、最終巻で達した成長具合を踏まえると、なかなかに現在もなお、意味深です。
自分ではどうしようもない大きなうねりの中に放り込まれたとして、あなたはどうしますか?
そして、のちに大活躍をされる、カシュー陛下もバグナードもアシュラムも、本作ではちょろっと出るだけなのが1巻らしい。
彼らもまた、本作で思うところがあり、成長し……といえるのかも。
1巻まとめ
カーラのところで触れましたが、白黒つかないってかなり重いテーマですよね。ちびっこの私、絶対わかってない。
というか、今も、完全に正しいとも悪いとも言い切れずにいます。
ロードスは魔法ありのファンタジー世界で、それは科学文明の私たちからすると、結構何でもありなイメージが強いはず。
それなのに、それでも、全てを明確に断定できないことがある。
そんなあやふやさ、危うさもまた、魅力の1つのような気がしています。
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2巻目の感想はこちら(書いたら繋げます。しばしお待ちを)




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